第18章 悪魔

蛇の胴体はまだ杉浦杏奈のナイフの柄にぶら下がり、首のない断面から血がぽたぽたと滴っていた。

誰も動けない。まるでその場に釘で打ちつけられたみたいに。

杉浦啓介は口を開けたまま固まっていた。今、自分は何を見た? 杉浦杏奈が、一撃で蛇の頭を落とした? あの、蛇革のバッグにすら触れなかった杉浦杏奈が?

藤原智彦は、杏奈がまだうねる蛇の胴を持ち上げるのを見つめた。蔓で手際よく縛り、柄に引っかけて吊るす。その一連の動作も、無表情の横顔も。

普通の女が毒蛇を殺した直後に、こんな目をするわけがない。

――なのに、その冷えた顔がたまらなく魅力的だった。

藤原智彦は舌で唇を湿らせ、眼の奥に露骨な欲...

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